神龍は梅山より出でずる。

~中国の伝説~

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 (龍湾国家湿地公園の風景)

水は澄み渡り、仙気溢れる空気。そこには何か確実に存在するのではないかと思わせるに十分な土地だ。話は湖南省婁底市という場所。ここには絵画のような景色が広がっている。

現在国家湿地公園に指定されているこの地では20km内に島や礼渓湖(けいこ)、楽渓湖といった11もの様々な湖が点在している。総面積は2500ヘクタール。この公園の水域や形状は一匹の巨大な龍が潜伏しているかのような印象を受ける。

また蘇渓湖周辺は天台寺の仏教聖地でもある。「進佛寺」は北宋の時代に建てられ既に900年余りもの歴史がある。

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龍は中国古代伝説の中でも一際際立った存在だ。華夏族の象徴であった白虎、朱雀、玄武と並ぶ四神獣のうちの一つとして、また中華文化の象徴の一つでもある。

《太上洞渊神咒经》の中の龍王品巻十三には「五帝龍王」という記述がある。

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《太上洞渊神咒经》

海洋区分の四海龍王、天と地によって区分された116名の龍王がいる。また四つの海は龍王の駐在している土地に過ぎず、龍族はこの梅山の大地に住まうという。

梅山大地はこの龍の住まう大地の条件に合致している。また伝説の三神の一人女媧(じょか)が住むと言われる「天の処」雅天門でもある。

この空間は霊気・天・地・人・妖修行の地として選ばれる。龍族も例外ではない。龍族は梅山区域に潜伏、法力を高め成長していく。

 その中でも最も著名な敖广、敖钦、敖润、敖顺という四兄弟が「封海大史」として四海龍王に任命された。

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(敖钦)

この地域は不思議な仙気が漂っていそうな神秘な地域。龍と名の付く地名がたくさんあり昔から龍伝説が盛んであった地域だったのだろう。

またこの地域には世界屈指の長さを誇る9つの洞窟があり、この様な複雑に入り組んだ地が幾多の伝説を生んだようである。

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 (梅山龍官風景)

また水源が多く、水と共に暮らす地域なので、治水と戦い自然を敬う習慣よりこのような伝承が伝えられていったのではないだろうか。龍族とも言えども修練や修行が必要という考え方は面白いね。生まれながらにして仙術を持っているわけではないという現実的な考え方。

地域はこちら

※華夏族…漢以前に中原の黄河流域に住んでいたと言われる部族。漢民族を構成する主体とされる概念。中原という言葉はここより始まり、三国時代の中原を目指す…という思想はこの概念から来ていると思われる。

※本草綱目…中国の本草学史上においてもっとも充実した薬学著作。1578年に完成。日本にも輸入された。

引用

天下神龙出梅山

華夏族 - Wikipedia