形天
魯迅が幼少時代に読み夢中になったという本「山海経」(せんがいきょう)。
その中に出てくる怪人、「刑天」。容姿は首なしで、乳が目でヘソが口という出で立ちで登場している。
中国語ではどの様に記載されているのだろう。
中国古代神話の伝説人物の一人。黄帝と争う。山海経、海外西経の中に記載があり、刑天は帝と争い、帝はその首をはね、常羊乃山に埋葬した。その為乳を目としてヘソを口として頭のない状態のままで暴れまわったという
甲骨文字と金文で記載された「刑天」は人形のよう。刑天の原型は華族の名も無き神で首を切られた後「刑天」というエピソードが出来たのだろう。
「山海経」の原本では最後の記載が変わって「暴れまわる」という記載になっているとの事。
尚「形天」でも良いみたいだ。出生地は湖北随州。
職業は炎帝大将。彼の国の面白いところは早い段階で神話が人と結びついて考えられている点。
神だったら出生地とか気にならないとは思うのだが…ここら辺の感覚の違いが興味ふかい所。
山海経
因みに魯迅が読んだのは「阿長と『山海経』(1926)であったとのこと。粗末な作りの本であったが一番大切にした本であるという。
この本は中国の最古の地理書として紹介されることが多い。中国の神話を数多く居間に伝える貴重な資料となっている。
この本は現存するのは18巻。22篇訳32650字。刑天は海外経に記載されている。成立時代は諸説あり後世に少しずつ付け加えられ現在の全18巻という構成になったようだ。
(現存する最古の山海経本、宋本)
東晋(317年 - 420年なので4,5世紀)のカイハクがこの本の荒唐無稽であるが為に散逸することを危惧、この本に注訳をつけ散逸を防いだ。その後何世代にも渡り…元々絵などが付属していた様であるが現存する絵は明清時代に新たに描かれたもの。消滅してしまった絵が見つかればまたファンタジー世界に一大旋風を巻き起こしそう。
因みに一番最初に当ブログで紹介した「女媧」も掲載されている。中国古代歴史、地理、中外交通や神話などの研究をするには最適な一冊となっている。
(山海経方位図)
(山海経壁画)